読む映画
「感想」に毛の生えた程度のレビューをシコシコ書いています  ネタバレだらけなので、未見の方はご注意ください~
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
グッバイ、レーニン!
2003年 ドイツ映画
テレビ録画にて観賞
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 1990年頃、ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ。
 心臓発作で倒れ、ドイツが統一されたことを知らない状態で意識を回復した母にショックを与えないため、息子は母の周りの世界をニセモノの東ドイツで塗り固めていく・・・。

 手放しで賞賛された東西ドイツの統合だが、市民一人一人の視点で見れば、悲喜こもごもの物語がある。価値観の激変についていけない人たちも当然いる。
 コメディタッチで軽い描写のなかにも、当時の東ドイツ社会の戸惑いがとてもよく描かれていると思う。

 まず、アイデアがとってもおもしろい。実際には劇的な変化の真っ最中にあるベルリンのなかで、母の知っている世界を創り続けるというのはとてつもない労力が必要。ウソのTV放送をビデオで製作するという手の込みよう。「何もそこまで」と考えたくなるところだが、「ショックを与えたら母は死んでしまう」と切迫した状況を作ることで、リアリティが生まれている。

 息子は、当初はあくまで「母のため」に架空の東ドイツ社会を創造しつづけたのだが、次第にそれは自分の中にある理想社会を体現させるものに変化していく。
 東ドイツに西ドイツのヒトやモノが増えたのは、西ドイツの腐敗した社会から逃げ出した人々が難民として入ってきたからであり、東西ドイツの統合は、あくまで東ドイツ主導で平和的に行われる。

 はっきりとは描かれていないが、そんな息子のウソを、母は途中から完全に見破っていたと思う。
 ラスト近くのシーン、東西ドイツの統合を映し出すニュース映像(ニセモノ)を眺めながら、母が息子を見つめながら「素晴らしいわ」と声をあげる。
 これは、東西ドイツが統合したことが「素晴らしい」と言いたかったのではなく、自分のためを思い架空の世界を創りつづけている息子の気持ちが「素晴らしい」と言いたかったんだと思う。母は息子の自分への愛に素直に感動していたのだ。
 母は、息子のウソに気づきながらも、気づいていないことを装ったまま死んでいく。息子の優しいウソに、母も優しいウソで応えたのだ。

 観た後にとてもやさしい気分になれた。下手をすれば「社会主義へのノスタルジー」と一蹴されかれないテーマの作品なのだが、あくまで物語の本筋を母と息子の愛情に置いていたのがよかった。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://ryochi.blog2.fc2.com/tb.php/74-b45f03b9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
2003/ドイツ(121分)監督 ヴォルフガング・ベッカー出演 ダニエル・ブリュール/カトリーン・ザース/マリア・シモン/チュルパン・ハマートヴァストーリー 1989年、東ベルリン。アレックスの父は10年前に家族を捨て、西側に亡命してから、母クリスティアーネは、ますます愛
2005/06/19(日) 20:24:09 | レインボゥメモリーズ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。