読む映画
「感想」に毛の生えた程度のレビューをシコシコ書いています  ネタバレだらけなので、未見の方はご注意ください~
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戦場のフォトグラファー ジェームズ・ナクトウェイの世界
2002年 スイス映画
テレビ録画にて観賞
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 アメリカ人戦場カメラマン、ジェームズ・ナクトウェイを追ったドキュメンタリー。
 戦場カメラマンを題材にした映画というと、沢田教一の「SAWADA」や、一ノ瀬泰造の「地雷を踏んだらサヨウナラ」のようなヴェトナム戦争時代のカメラマンを連想するが、ナクトウェイは現代に生きるカメラマン。ここで出てくるのは、コソボやルワンダ、南アフリカやインドネシアといった、90年代に内戦や騒乱のあった地。ヴェトナムと違い、リアルタイムで報道に接していた戦場ばかりなので、とても生々しい。

 ナクトウェイの思慮深さと物静けさには驚かされる。
 戦場のジャーナリストというのは、この作品に出てくるロイターのカメラマンも吐露していたように、大多数は冷淡で功利的。人間的には鼻持ちならないような人が多いのが事実だと思う。所詮高みの見物なのだ。
 ナクトウェイは、実に静かに、一人戦場に飛び込んでいく。愛する人を失い悲嘆に暮れる人々に、手を伸ばせば触れられるような近さでシャッターを切り続ける。
 それは一種の冷酷な撮影マシーンのようにも見える。しかしナクトウェイは、撮影の対象とは事前に心を通わせるような努力を怠っていないのだ。撮影の対象となった人たちの信頼を勝ち得ているからこそ、ナクトウェイはあんな近さから、悲しみのほとばしるような写真を撮ることができたのだ。

 戦場で人間らしさを保ったままカメラマンとして存在しつづけるというのは、とても辛いことだろうと思う。冷酷に「オレは部外者だ」と言い捨て、助けを求める声に耳を貸さず、仕事と割り切るほうがはるかに楽なはず。
 しかしナクトウェイはそういうスタイルはとらない。
 インドネシアの騒乱でキリスト教徒のアンボン人がイスラム教徒の群集に殴る蹴るの暴行を受け今にも殺されようとしているとき、「この人を殺さないでくれ」と土下座して群集に懇願する。パレスチナの内戦では、パレスチナの群集に混じって銃撃を受け、催涙弾を浴びて苦しむ。
 彼は常に当事者の視点に立ち続ける。
 
 彼は常に人間らしい優しさを忘れない。戦場においても、「これは仕事だから」と割り切ることなどない。彼の物静かで古武士のような佇まいは、彼が目の当たりにしてきた現実を、逃げることなく受け止めてきたことをよく表しているように思えた。

 アメリカ人である彼の目に、イラク情勢はどう映っていたのだろうか。ぜひとも知りたいところだ。
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