読む映画
「感想」に毛の生えた程度のレビューをシコシコ書いています  ネタバレだらけなので、未見の方はご注意ください~
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
息子のまなざし
2002年 ベルギー・フランス合作
2005年1月 テレビ録画にて鑑賞
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 久しぶりに深く考えさせられる映画を観た。

 職業訓練所で木工の教師として働く男と、生徒としてやってきた少年との交流を描いている。
 徹頭徹尾、抑えた表現の作品だった。音楽はまったく無し。カメラは常に主人公の教師をアップでとらえている。ハンドカメラのブレブレの映像が、ひたすら長回しで綴られている。

 教師は、少年に対し並々ならぬ興味を抱いている。陰から覗いたり、勤務後にさりげなく待ち構えていたり、挙句の果てにはロッカーから鍵を盗んで少年の部屋に侵入したり・・・。

 冒頭からの彼の挙動不審ぶりからして、「こいつはヘンタイなのか」といぶかりながら観ていたが、物語中盤で、彼の不審な行動の理由が明かされる。
 彼の行動の理由がわかってからは、彼の表情や行動の一つ一つが重く、考えさせられるものだった。

 この作品が問いかけてくるテーマは重い。自分の子を、子供に殺されてしまった親は、その子供を許すことができるのか。少年の重犯罪が増えている日本にとっても、避けて通りがたいテーマだ。

 作品中、彼は少年をひたすら観察し、とにかく少年のことを知ろうとする。
 ここに鍵があるのだと思う。相手を許すためには、相手のことをよく知らなくてはならない。相手のことをよく知らないからこそ、相手を恐れ、憎むという構図がある。
 加害者とはいえ、相手はまだ少年。それも、若くして世間の荒波に晒されながら、苦しい人生を生きていかなくてはならない。そのことを、彼は少年を観察することで、理解していったのだと思う。

 世の親たちすべてが彼のような行動をとりえるとは思えない。また、彼のような寛容な姿勢でなくてはならない、と言うことは私にはできない。加害者を一生憎しみ続けるのが、普通の姿だと思う。

 ただ、憎しみを乗り越えたいのであれば相手を許すことが大切であり、相手を許すためには相手を知らなくてはならない。
 そのことを教えてくれる作品だった。

 観終わってから気づいたのだが、タイトルの「息子のまなざし」とは、背後霊のように教師を背後から捉えつづけたカメラのことなのかもしれない。
 観客は、亡き息子のまなざしで親の姿を追いかける。そして親が加害者の少年を許した瞬間、プツリとカメラは途切れ、物語は終わった。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://ryochi.blog2.fc2.com/tb.php/38-b245e492
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
[:映画:] 「息子のまなざし」以前ニュース番組で、弟さんを保険金目当てで殺された男性が、獄中にいるその殺人犯と手紙のやり取りをしているというのを見た。犯人は死刑が確定し、その男性は面会と死刑執行停止を求めてた。本も出ています(「弟を殺した彼と、僕。」原田 正
2005/07/24(日) 16:04:46 | That's the Way Life Goes
職業訓練所で講師をする男は、偶然にも 自身のクラスの受講を志願する、かつて自分の息子を 殺した少年を迎え入れるが、徐々に不可解な執着を見せる。 その行動は、喪失したなにかを必死に探すかのようで しかし、それは息子のことでは、恐らく、無い。 男は、少年から.
2005/01/26(水) 00:35:52 | 小さくて長い数珠
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。