読む映画
「感想」に毛の生えた程度のレビューをシコシコ書いています  ネタバレだらけなので、未見の方はご注意ください~
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カランジル
2003年 ブラジル映画
テレビ録画にて鑑賞
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 日本では劇場未公開の作品。
 2006年2月はドキュメンタリー強化月間なのか、WOWOWでマイナーなこの作品を流していました。

 この作品はドキュメンタリーではないのですが、1992年にサンパウロの刑務所で実際にあった事件を基にしています。
 暴動を起こした刑務所の服役囚たちに対し、警官隊が無差別発砲、111人が死亡したという事件です。

 逃げ惑う囚人たちを一方的に殺戮した警官隊たちの行為を告発するという描き方をしていて、社会性の高い作品と言えるでしょう。
 でも、作品中のほとんどの時間は、刑務所の中の日常が描かれています。

 刑務所の日常を丹念に描いておいて、唐突に事件が勃発する。
 そういう描き方をすることで、事件の残忍性を際立たせようとする狙いがあったのかもしれませんが、私にはちょっとチグハグに思えました。

 事件そのものよりも、日本人である私にとっては、カランジル刑務所の日常そのものが衝撃的だったのです。
 こりゃ動物園だ、と言ったら動物に失礼なんじゃないかとすら思えるような無秩序で野蛮な世界。
 囚人同士の殺人すら頻発するような世界なのです。

 まるで「刑務」所としての機能が働いておらず、ただ悪党たちの巣窟と化している刑務所。
 日本人の私にはそのことが衝撃的で、日本とブラジルの文化の壁を感じてしまったのでした。
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カレンダーガールズ
2003年 イギリス映画
テレビ録画にて鑑賞
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 夫を病気で亡くした友人の心を慰めるために、中高年の女性たちが自分たちのヌード写真入りのカレンダーを発行するというお話。
 とても奇抜な話に思えるけれど、実話ベースらしいです。

 50代から60代と思われる女性たちのヌードということで、観るのにちょっと勇気が必要でしたが、意外にも(失礼かな)美しいヌードで、ホッとしました。
 ヌードと言っても、大事なところは隠したセミヌードなんですよね。

 イギリス映画、ヌード、中年、というキーワードから、R・カーライル主演の「フル・モンティ」を連想してしまいました。
 「フル・モンティ」は、工場の閉鎖で失業してしまったオジサンたちが、生活のために男性ストリップショーをやるという話です。
 コメディタッチではありながらも、生活苦がベースになった物悲しさの残る作品でした。

 一方この作品は、「フル・モンティ」に比べるとずいぶんとアッケラカンとしています。

 90年代のまだ不況だった頃のイギリスで作られた「フル・モンティ」と、不況を脱して元気になったイギリスで作られたこの作品とでは、やはり時代背景が違うんでしょうね。

 個人的には、オジサンたちの物悲しさが印象的だった「フル・モンティ」のほうが好きです。


 先日、TBSの「世界ウルルン滞在記」で、上原さくらがイギリスでヌードカレンダーを作るというシーンを見ました。
 これは、狂牛病騒動ですっかり景気の悪くなった酪農家のオジサンやオバサンたちが、少しでも収入を得るためにヌードカレンダーを作るというものでした。
 これって、きっとこの映画(あるいはベースとなった実話)にヒントを得たアイデアなんでしょうね。
 面白いアイデアではあるのだけど、あまり乱発されるとちょっと食傷してしまいますね。

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父、帰る
2003年 ロシア映画
テレビ録画にて鑑賞
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 タイトルどおり、父が帰ってきます。

 12年間も家族と音信不通だった父親が、何の前触れもなく、唐突に帰宅。
 そして、父と2人の息子との、理由のわからない旅が始まります。

 とにかく何もかもが、理由のわからないことだらけ。
 父はなぜ12年間も留守にしていたのか。
 父はなぜ息子たちを旅に連れ出したのか。
 父はなぜ息子たちに辛く当たるのか。
 母はなぜそんな父親を受け入れているのか・・・。

 余計なこと、というより本来必要だと思われる情報さえ何も提示されないまま始まり終わってしまう、親子3人の不思議なロードムービーでした。

 ここまで観客側に情報を提示しない作り方というのは、当然監督の狙いがあってのことでしょう。
 どうとでも解釈しようのある、それがこの作品の味なのだと思います。

 ネット上の議論で、「父=神」なのだという解釈がありました。
 ソビエト時代の無神論から、再びロシア正教の価値観に戻されたロシアの人々。
 今さら何なんだ、というロシアの人たちの困惑が、息子2人の困惑に投影されているのではないか、というわけです。

 なるほどな、と思いました。
 でも私は、ちょっと角度を変えて考えてみました。
 ソビエト連邦崩壊という時代背景があるのは同じですが、神の存在うんぬんではなく、資本主義的な価値観に対する困惑が描かれているのではないのか、と考えたのです。
 12年間という父の不在期間が、それを象徴しているように思えます。
 この作品は2003年製作。その12年前というと、1991年。そう、ソビエト連邦崩壊の年です。
 この父親は、そんな時代の波に呑まれてしまった人なのではないでしょうか。旧体制側の人間として監獄にいたのかもしれません。あるいは、資本主義の潮流に乗ろうと、ダーティーな世界で暗躍していた人なのかもしれません。
 ソ連崩壊後、ロシアという国はあまりにも大きな激動を経験し、弱肉強食そのものの世界になってしまっています。

 そんな時代を経験した父は、世の中の厳しさ、汚さというのをイヤというほど知ってしまった。
 息子たちには、厳しい時代を生き抜くためのチカラを授けてやりたい。そんな思いから、父は息子たちに甘い顔を一切見せずにいたのではないかと考えたのです。

 もちろん、こんなのは解釈の一つにすぎません。
 他にいくらでも、この映画を観る切り口はあるでしょう。
 ちなみに監督自身は、「これは人間の魂の、母から父への、形而上学的な旅についての映画である」と語っていますが、キリスト教世界の外に生きる私たちには、わかったようでわからない説明ですね。

 私の解釈など、安易すぎるのかもしれません。
 でも、この映画を観る切り口はいくらでもあっていいのだと思います。

 監督はまた、「観客の心に傷を残したかった」と言っています。
 監督の思うとおり、この作品は何がしかの傷を観客に与えずにはいない作品です。

 主演の男の子(兄のほう)が公開後に溺死した、というオマケまでついた、なんだかとても心に刺さる作品でした。

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ブラザーフッド
2004年 韓国映画
テレビ録画にて鑑賞
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 韓流ブームの真っ只中、チャン・ドンゴンとウォンビンというイケメン俳優が主役という点で、何となく観る気がしていなかったのですが、なかなかどうして骨太のいい映画でした。

 韓流ドラマっぽいベタベタの演出が鼻につくところもあったけれど、それ以上にこの作品の骨太さ、メッセージ性の強さが印象的でした。

 私たち日本人は、朝鮮戦争についてあまりに無知なんだなぁとつくづく感じました。
 北朝鮮がソウルを支配していたことがあったなんて知らなかったし、逆に韓国がピョンヤンを陥落したことがあるってことも知らなかった。
 それに何より、「言葉が通じる同胞たちが殺しあう」ということの残酷さを、知らなかったのです。

 韓国軍兵士と北朝鮮軍兵士は、着ている服が違うだけで、顔かたちに違いはありません。
 そんな彼らが、互いに銃剣で突き合い、首を締め合う姿は、見るに耐えないものでした。

 そして、とても印象的だったのは、韓国の現代史の暗部にまで切り込んでいる点。
 例えば、兄ジンテの婚約者がソウルで惨殺されるシーンがあります。彼女が「保導連盟に加入していた」という理由からです。

 ここのくだり、そもそも「保導連盟」とはいったい何なのかすら私はわからなかったので調べてみました。
 保導連盟というのは、「思想改善組合として韓国政府が組織し、そこに登録すれば共産主義者として処罰はしない」としたものだそうです。

 ジンテの婚約者は「登録すれば麦がもらえるから」といった程度の感覚で保導連盟に登録していたわけですが、そんな彼女ですら結局「共産主義者」として殺される。
 李承晩時代の極端な反共政策の一幕、韓国人にとっては暗部の一つでしょう。実際、この問題については韓国ではタブーとなっていると言います。

 ベタベタのメロドラマのようであり、一方でジンテの人間業ではない戦闘を描いた戦争アクションもののようでもあり、娯楽作として楽しませる力を持っています。
 でもさらに、この作品には「朝鮮戦争とはいったい何なのか」「南北分裂とはいったい何なのか」という問題意識が強烈に感じられ、とても印象的でした。

 こういう映画を観ると、現代の韓国映画というのは本当に力があるのだなとつくづく思います。

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