読む映画
「感想」に毛の生えた程度のレビューをシコシコ書いています  ネタバレだらけなので、未見の方はご注意ください~
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八月のクリスマス
 いま、韓国映画が熱い、という声をよく聞く。なかなか韓国映画が日本で公開されることはないが、韓国映画の質の高さを実感させてくれる作品だった。

 死を目前に控えた青年が恋に落ちた・・・これだけ書くと、世間にいくらでもある難病モノのようだけど、この作品は、その手の作品とは一線を画している。

 まず、描写がとても静謐。登場人物たちは、大げさに喜んだり怒ったり悲しんだりしない。ただただ、日常的な行為が営まれ、日常的な会話が交わされる。

 ホ・ジノ監督はインタビューで、小津安二郎が好きだと言っている。確かに小津作品を彷彿とさせる。ただ僕は、むしろ小津というよりも、市川準を連想してしまいました。「東京兄妹」とか。

 そして、主人公の青年、ジョンウォン(ハン・ソッキュ)が、とっても魅力的。死を目前にし、酔っ払って交番で暴れたり、布団にくるまってむせびこともある。しかしそれでも他人に対してはあくまで優しい。恋心をいだくようになるタリム(シム・ウナ)に向ける笑顔は、最高。僕もこんな寛大で懐の深い男になりたいなあ、とまで思ってしまった。

 演ずるハン・ソッキュは、韓国では出演作のすべてがヒットするという大スターとのこと。決して美男子ではないのですが、演技力はバツグン。セリフ無しでも、控えめな表情や仕草だけで、表現してしまう。

 ジョンウォンは、ビデオの操作ができない父親に、懸命に操作方法を教える。しかし機械に弱いらしい父親は、何度教えても要領を得ない。このときにジョンウォンが珍しくカリカリするのは、自分の亡き後の父親を思うがゆえだろう。

 自室に引きこもって、ジョンウォンはビデオの操作方法を、大きな紙に箇条書きにして大書する。意を決したように紙に向かうジョンウォンは、まるで遺言書を書いているように見える。
 さりげないエピソードですが、僕がこの作品のなかで一番印象に残ったエピソードだ。

 いわゆるトレンディ・ドラマ(死語かな)には決して描かれることのない世界がここにはあるす。その手のドラマの大仰で安っぽい演技やセリフに飽きてしまった人には、ぜひオススメしたい作品。
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